『パーソナルソング』 認知症の治療に音楽を活用すること。

 

認知症にかかったおじいちゃんが、若いころに大好きだった曲を聞いて、眼を見開いて感動する『パーソナルソング』の予告編を見てから2年以上が経った。当時、「音楽の力ってスゴイな~」と、Facebookでつぶやいた記憶がある。

パーソナルソング
“1000ドルの薬より、1曲の音楽を!”

日本での公開当時、すでに父は認知症にかかっていて、母が在宅で介護をしていた。父は戦中派の鉄道の運転手であまり音楽に興味がない。そんなこともあって映画のなかで試みられている音楽療法について実践することはなかった。

この映画のことを思い出したのは、ミュージシャンかの香織さんの仕事を手伝うようになってからだ。彼女は一般財団法人オーバーザレインボウ基金という団体を設立し、ホスピスにいる患者さんや認知症の人たちに歌を届ける『ワンソングプロジェクト』を手がけようとしていた。そのきっかけの一つとなったのがこの映画と聞いた。

一般財団法人オーバーザレインボウ基金

自分の記憶のなかに眠っていたこの映画がさらに輝きはじめるのは昨年末のこと。母が認知症の初期であることがわかった。

母は地域の友だちとカラオケに行くのが好きだった。ひとりの時にはカセットを聴きながら、気持ちよさそうに歌うこともあった。

音楽を聴いてもらうことで認知症がよくなるならこんなに素晴らしいことはない。この映画のなかでは、iPodとヘッドフォンをセットにして、アルツハイマーなどの認知症患者の人たちに音楽を楽しんでもらう。それまで自由がきかない老人ホームで表情を失っていたおじいちゃん、おばあちゃんが若いころを思い出し、カラダを動かしはじめ、豊かな表情をとりもどしていく。

今の時代ならわざわざiPodに母の好きな音楽を取り込まなくても、音楽配信サービスを活用すればすぐその場から音楽を聴かせることができる。

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母が聴いていたカセットを参考に、美空ひばり、島倉千代子、八代亜紀、都はるみ、細川たかしなどの全曲集、コロンビアレーベルの名曲選などをプレイリストに入れてシャッフル再生する。

すべての曲を知っているわけではないが、「どう、むかしの曲はいいでしょ」と言って母は口ずさむ。一番のお気に入りは美空ひばりの「みだれ髪」。ついさっきのことさえ不確かなのに歌詞カードも見ずにスラスラと歌いだす。

「この曲は本当に好き。カラオケでも一生懸命に練習したんだ」と母。

ついでに母が楽しみにしていたカラオケに行かなくなった理由もわかった。カラオケに誘ってくれた友だちが亡くなったからだという。

母は今、83歳。自分でできることは少なくなるし、友だちも徐々に減っていく。父が介護施設に入居してからはやりがいを感じていた介護からも解放された。残す楽しみはグランドゴルフだけだ。

認知症に効果があろうか、無かろうが、この音楽サービスが彼女の楽しみの一つになるならそれはそれでいいのかもしれない。音楽を聴いている間はとても楽しそうにしているからだ。

音楽配信などを“やさしく”活用して、できるだけ多くの認知症の人たちに、楽しい時を届けられたら素晴らしいと思う。

 

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